外国為替市場には2月~3月末に向けて円が買われやすい、つまり円高になりやすいという経験則があります。今年の3月も円高になるのでしょうか。
もくじ
3月は円高になりやすいという経験則
2~3月のドル円の為替の推移を見てみると、2018年まで3年連続で円高になっています。16年が約8円80銭、17年が約1円50銭、18年が約3円とドルに対して円は上昇しました。
日本企業が海外子会社などに保有している資金を決算期のこの時期に日本に環流させることが、3月に円高が進む要因の一つとして挙げられています。
決算期前に外貨から円に戻すので、円高が進む。これが経験則として捉えられています。
3月は円高の経験則に課題評価の声
市場の経験則になっているこうした見方には、過大評価との声もあります。というのも、過去20年の為替の推移を振り返ってみると、2月の円高確率は55%、3月は50%にとどまるからです。
19年3月の為替推移は円安か?
19年の為替推移を見ると、1月はやや円高になっていましたが、2月に入ると流れが変わり円は2円程度下落。今は1ドル110円台と円安傾向が続いています。
その理由として考えられる1つとして、米中貿易協議の行方に楽観的な見方が出たことです。3月1日が期限の米中貿易協議は延長戦になるとの見方が増えていたところ、2月22日には3月中にも米中首脳会談が開かれ、貿易問題で最終合意を目指すことが発表されました。
これにより、リスク回避の動きが後退し、円安が継続する可能性も考えられます。
それとも、為替は円高になるのか?
しかし、円買いが増える可能性も捨てられません。
というのも、好調が続いていた米景気後退を裏付ける指標発表が、今後増えるかもしれないからです。
実際、直近に発表された18年12月の米小売売上高は前月比1.2%減と、米経済が景気後退から抜け出し始めた2009年9月以来、9年強ぶりの大幅な減少となりました。FRBが利上げを停止していると取りざたされていることも、米景気後退を十分に示唆しています。
米景気後退が明確になるとリスクオフの動きにより、安全資産とされている円買いが進むことも予想されます。
まとめ
3月は円高になるという経験則がありますが、20年間を振り返るとその確率はほぼ半数です。2019年に関しても、いまの円安傾向が続くのか、円高に切り替わるのか、未来のことは誰にも分かりません。
投資をしている私たちが取る対策は、どちらか一方(円高か円安か)にかけて行動するのではなく、どちらに転んでも損をしないことです。経験則に過剰な信頼をおかず、今後、為替がどのように推移してもプラスを得られるような対策を取っていきましょう。