世界的に有名な投資銀行、JPモルガンが今年6月に作成した「Guide to the Markets」という報告書があります。その報告書の中に『マーケットの10のルール』が紹介されていました。
これからの資産運用にとてもためになるものなので、今回はその10のルールを私の個人解釈を添えて紹介します。
報告書の全文はこちらから確認いただけます。https://www.jpmorganasset.co.jp/GTM/jp.pdf
1. マーケットは、時を経て、平均に回帰する。
だからこそ、私たち個人投資家は目の前のハイリターンを追う必要はなく、一見低いと思われがちなリターンでも長年運用し続けることで、大きく資産を増やすことができるのです。
2. 一方向への行きすぎや過剰は、逆方向への行きすぎや過剰を生む。
急騰の後には急落が訪れるのがまさにこれです。
というのも、期待リターンよりも大きく上回るリターンがでている商品はそれと同じ確率で、期待リターンを下回る成績が出る可能性があるのです。
リスクとリターンは全て計算して数値化できるものであり、これはどんな商品でも逃れられない価格変動の傾向なのです。
3. マーケットに、「今回は違う」はない。行き過ぎや過剰は永続しない。
マーケットに「新しいもの」はありません。なぜならば、マーケットの歴史は、人類の歴史と同じくらい、古いためです。というのも市場経済が始まったのは1万年ほど前の農耕が始まった時と言われています。
国際金融市場は、13世紀のイタリアが始まりと言われており、それから今に至るまで、金融市場は長い歴史を刻み、ちょっとした金融イベントは数々の学者によって研究しつくされています。
マーケットで今日起きている出来事は、どんなことでも、過去に起きたことと類似しています。よって、過去を研究することで、今後どういう出来事が起きるのかおおかたの予想を立てることができるのです。
4. 指数的な上昇や下落を見せるマーケットは、思ったよりも長続きする。しかし、それが「横ばい」で終わることはない。
リーマンショックによる下落が約1年半で終わり、そこから上昇に転じたように、相場が悪くてもそれが横ばいとならず上昇に転じます。
一方で、これはこれまでの10年間続いた上昇相場にも当てはまり、この上昇から横ばいに転じることはなく、早晩下落相場に転じることでしょう。
5. 大衆は、ほとんどを「高値掴み」する。安値では、ほとんど拾えない。
「安く買って高く売るのが投資」というイメージを持っている人が多いのに、相場が上がると乗り遅れる!と焦って購入する人がたくさんいます。そして、相場急落の時に怖くなって商品を手放す人もたくさんいます。
商品がもっている価値が高いなら、一次的な株価急落は安く購入できるチャンスなので、そんな時こそ購入に動くベストタイミングなのですけどね。
6. 「恐れ」や「強欲」、それらに基づく判断は、長期の視点に立つ判断に勝りがちである。
視野を広くして長期的な視点に立って資産運用をしていても、大きく感情が動く時は驚くほど短絡的で、非論理的な行動をヒトはするものです。
感情に基づく行動は、本来持っているパフォーマンスを発揮するのを妨げます。
なので、資産形成をする上で大切なのは、金融知識を身に付けるのはもちろんですが、それ以上に自身のあり方が大切なのです。
7. マーケットは、全体が上がる時が最も強固であり、一部しか上がらなくなったときが最も脆弱である。
株式も債券も望む利回りが出にくい一方で、REITなどは好況を呈しているようです。これはつまり、一部しか上がらなくなっているマーケットになっていると言えるのではないでしょうか。
8. 弱気相場には、3つの局面がある。すなわち、急落、短期的な反発、ファンダメンタルズに沿った長期の下落局面、の3つである。
8月14日に「景気後退の前兆」と言われている逆イールド(今回は2年物債券と10年物債券の利回りの逆転)が発生しました。過去の歴史を見ると、逆イールドが発生してから1年半~2年後に景気後退期に突入しています。
ということは、弱気相場はもう目の前にせまっています。急落や一時的な反発などに惑わされず、大勢に合わせて運用スタイルの見直しなどを行っていきましょう。
9. マーケットの専門家が異口同音に同じことを言い出すときは、別のことが生じる時である。
未来がどうなるかは誰も分かりません。常に片方の確率に掛けることなく、別の反対の出来事が発生することも考慮に入れて、投資戦略を立てましょう。
そうすることで、どちらか一方に掛けない、全ての出来事を想定内に抑えた資産運用ができます。
10. 強気相場は、弱気相場よりも楽しいものである。
損失を被るより、利益を得る方が楽しいものです。だからと言って、強気相場に自分のリスク許容度を超えたハイリスク運用をするのは、予想外の大きな損失を被る可能性を高めます。
強気相場でも弱気相場でも、常に自分の投資スタイルは守り、リスク許容度内の運用を心がけましょう。
以上、マーケットの10のルールでした。